身障分野でのリハビリを行う上で、土台となる体の安定は必須になります。ボバース概念の中でもよく使われるBasis of Supportについてまとめてみました。姿勢を評価する中では有効な考えであり、実践的でもあります。
「BOS」について簡単にご紹介します。
ボバース概念における支持基底面(BOS)とは
リハビリテーション医学において、支持基底面(Basis of Support:BOS)は姿勢制御とバランス評価の基礎となる重要な概念です。特にボバース概念では、この支持基底面の理解と評価が治療の根幹を成しています。
支持基底面(BOS)の定義
支持基底面とは、身体が床や支持面に接している部分が作る面積や範囲のことを指します。身体が姿勢を保持したり動作を行う際に、安定性やバランスを確保するための基礎となる部分です。
具体例
- 立位時:両足が床についている部分とその間の範囲
- 座位時:お尻と両足が床についている部分
- 四つ這い時:両手と両膝が床についている部分
ボバース概念におけるBOSの重要性
1. 姿勢制御の基礎
BOSは姿勢制御やバランス保持の基礎となります。どこに体重が乗っているか、どれだけ広い面積で身体を支えているかを評価することで、患者の安定性やバランス能力を判断できます。
2. 運動学習・運動誘導の指標
ボバースアプローチでは、BOSを広くしたり狭くしたりすることで、患者のバランス反応や姿勢制御能力を段階的に引き出すことができます。
ポイント:BOSが広いと安定しやすく、狭いとバランス保持が難しくなります。これを利用して課題の難易度を調整することが可能です。
3. 治療計画やハンドリングの根拠
ハンドリング(治療者の手による誘導)時にも、BOSの広さや体重のかかり方を確認しながら、患者が自分で姿勢をコントロールできるように促します。
BOS評価のポイント
評価項目 | 観察ポイント |
---|---|
支持面に接している部位 | どの部位(足底、殿部、手など)が床や支持面に接しているか |
支持基底面の広さと形状 | 面積の大きさ、左右対称性、前後の広がりなど |
体重のかかり方 | 重心の位置、荷重分布のバランス |
重心とBOSの関係 | 重心がBOSの中心からどの程度離れているか |
動的変化への対応 | 姿勢変換や動作中のBOS変化への適応 |
支持基底面とバランスの関係
安定性への影響
- BOS が広い:重心がその範囲内に収まりやすく、姿勢が安定
- BOS が狭い:バランス保持が困難になり、転倒リスクが増加
- 重心とBOSの関係:重心を通る垂線がBOSの中心を通るとき、最もバランスが良い状態
臨床応用
立位練習での活用
足部の支持基底面をチェックして、どこに体重がのっているかを確認することで、安定した立位や重心移動の練習を効果的に行うことができます。
個別性の高い治療戦略
- 筋緊張が高い場合:支持基底面を広げて緊張を緩和
- 筋の弛緩性が強い場合:支持基底面を狭めて筋緊張を高める
- 感覚入力の活用:BOSの変化を通じて患者の運動学習を促進
ボバース概念では、患者ごとにアプローチをカスタマイズし、BOSの調整が治療戦略の重要な根拠となります。
まとめ
支持基底面(BOS)は、ボバース概念において姿勢制御や運動学習の根幹となる極めて重要な概念です。BOSの適切な評価と調整により、患者一人ひとりに最適なリハビリテーションを提供することが可能になります。
参考情報源
本記事の内容は以下の専門機関や学術資料に基づいて作成されています:
- 日本ボバース研究会公式サイト・講習会報告
- ボバース概念の定義・解説に関する専門文献
- ハンドリング理論とボバースの運動誘導に関する学術資料
- リハビリテーション医学における姿勢制御とバランス評価の研究
※詳細な情報や最新の研究については、各専門機関の公式サイトや学術論文をご参照ください。